図解
※記事などの内容は2019年8月31日掲載時のものです
【ワシントン、北京時事】トランプ米政権は30日、中国からの輸入品3000億ドル(約32兆円)相当に15%の関税を上乗せする対中制裁「第4弾」の初回分を米東部時間9月1日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)に発動すると官報で正式に通知した。同日と12月15日の2回に分けて実施し、中国も報復する構え。6月末の米中首脳会談での「休戦合意」は2カ月で白紙となる。
米中が第4弾の制裁と報復を計画通り実行すれば、双方からの年間輸入実績のほぼ全てにお互いが追加関税を課す異例の事態となる。トランプ大統領は8月30日、記者団に「関税のおかげで米国は中国との交渉で信じられないくらい優位な立場にある」と述べ、関税が予定通り発動されると説明した。
米通商代表部(USTR)によると、9月発動の制裁対象は約1120億ドル分(3243品目)、12月は約1600億ドル分(555品目)。生活必需品が多く含まれ、米国内総生産(GDP)の7割を占める個人消費に及ぼす影響は大きい。米国の年末商戦に配慮し、スマートフォンやゲーム機などへの課税は12月に先送りする。
これに対して中国も、同様に2回に分けて計750億ドル相当(5078品目)の米国製品に5%または10%を上乗せする。過去の報復対象に2度目の課税を行う品目も多く、9月以降の大豆の追加関税率は計30%、一部の牛肉は計35%になる。12月には米国車に対する25%の報復関税を再開。来年の再選を狙うトランプ大統領の支持基盤である農家や製造業への打撃は大きい。
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