図解
※記事などの内容は2019年6月29日掲載時のものです
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は29日、20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に合わせて大阪市で会談した。両首脳の直接会談は昨年12月以来。中国国営新華社通信によると、5月上旬から中断している貿易交渉の再開を決め、米国が新たな追加関税の発動を見送ることで合意した。交渉決裂により世界経済に打撃を及ぼす深刻な事態は当面回避された。
トランプ氏は会談後、記者団に「素晴らしい会合だった」「(交渉を)再び軌道に乗せることになると思う」と語った。会談は約80分行われた。両国閣僚による事前調整では「追加関税の発動を見送る可能性」(米政府高官や経済団体幹部)について踏み込んだ議論が行われた。
米中貿易交渉は5月10日を最後に途絶えている。中国による知的財産権の侵害問題や国有企業に対する補助金をめぐり衝突した。米政権は、昨年発動済みの対中追加関税を10%から25%へ即日引き上げ、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)と米企業との取引を事実上禁じた。中国も報復関税を拡大した。
トランプ氏は、首脳会談が不調に終われば、新たに3000億ドル(約32兆円)相当の中国製品を追加関税の対象とし、全輸入品に制裁を拡大すると繰り返し主張していた。一方、習主席は、G20サミット前に初訪問した北朝鮮への働き掛けを材料に、非核化交渉再開を探る米国から貿易問題で譲歩を引き出したい意向だ。
両首脳はG20サミット初日に火花を散らした。トランプ氏は特別会合で「安全な5G(次世代通信規格)通信網の確保」を訴え、官民一体でハイテク覇権の奪取を進める中国をけん制。対する習主席は、新興国や発展途上国との首脳会談で「反保護主義」での結束を演出し、自国第一主義を掲げるトランプ政権を暗に批判した。
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