図解
※記事などの内容は2019年6月24日掲載時のものです
トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は、今週大阪市で開かれる20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に際して会談する。中断した貿易協議を再び軌道に乗せられるかが焦点。米国は中国からの輸入品ほぼすべてに追加関税を拡大すると脅して歩み寄りを促している。
-貿易協議の状況は。
両国は昨年12月の首脳会談から協議を始めた。米国は中国に140項目を超える貿易慣行の是正を求めたが、今年5月上旬に暗礁に乗り上げた。トランプ大統領は「95%まで進んでいたのに中国が合意を覆した」と非難。対する習主席は「平等な対話」(中国国営新華社通信)を求めており、米国の要求は過度だとけん制している。
-具体的な対立点は。
懸案は、互いの輸入品に課している追加関税の扱い。中国側の協議担当の王受文商務次官は24日の記者会見で「米国による不適切な措置」の解除を求めた。中国は新たな法整備を強いられる合意や、中国が合意に違反した場合に米国が関税を再発動する「罰則」にも反発している。
-首脳会談での中国の出方は。
貿易に端を発した米中対立は外交や安全保障にまで広がっている。習主席は先週の北朝鮮初訪問を取引材料に、北との非核化交渉再開を探る米国から貿易問題でも譲歩を引き出す構えとみられる。米国が中国に依存するレアアース(希土類)の輸出制限をカードに使う可能性もある。
-米国の立場は。
トランプ大統領は、中国からの全輸入品に追加関税を広げるかは首脳会談の成否次第と警告。中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)への制裁を強化して揺さぶりをかけている。これらの強硬策は景気減速に直面する中国にとって痛手だが、米国内にも関税拡大に対する異論が根強い。香港メディアは、追加関税の拡大を当面控えた上で、一定の合意を目指して交渉を続ける妥協案を伝えた。大統領が来年秋の再選をにらんで柔軟な対応に出るか注目される。(ワシントン、北京時事)
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