図解
※記事などの内容は2019年2月26日掲載時のものです
【ハノイ時事】トランプ米大統領は27、28両日の2回目の米朝首脳会談で、中国、ロシア、韓国に囲まれた北朝鮮の経済成長の潜在性を強調し、経済再建に注力する金正恩朝鮮労働党委員長に核放棄の決断を迫る構えだ。だが、中ロは「完全な非核化」前に段階的に制裁を緩和することを求め、韓国は南北経済協力に意欲を見せる。周辺国の思惑は、経済制裁をてこに非核化進展を目指す米国の足かせになりかねない。
トランプ氏は24日、各州知事との会合で大国に囲まれた北朝鮮は「経済的に最も活気のある国になるチャンスがある」と持ち上げた。経済面での後押しを約束することで、非核化を推進したい考えを示した。一方で非核化に向けた「意味のある」措置を取るまで制裁解除には応じない原則も再確認し、硬軟両にらみで交渉に望む考えだ。
これに対し、周辺国は制裁維持よりも経済協力を重視する姿勢を隠さない。南北協力事業の再開を望む韓国は、制裁緩和に期待感を強めている。文在寅大統領は19日、電話会談でトランプ氏に「南北の経済協力事業など、役割を引き受ける覚悟はできている」と述べ、中断状態の金剛山観光や開城工業団地の再開への意欲を示した。
中国も北朝鮮の「後ろ盾」として、制裁緩和を通じて経済立て直しを支援する姿勢を鮮明にしている。中国外務省の陸慷報道局長は26日の記者会見で、「制裁の部分的緩和や解除のような前向きな措置を打ち出せれば、(非核化)プロセスに役立つ」と述べ、制裁の見直しを改めて主張した。
21日付のロシア紙コメルサントは複数のロシア外交筋の話として、米朝首脳会談後に、中ロが韓国の支持を得て、制裁の緩和を国連安保理に提案する計画だと報じた。食料や繊維、鉄道事業の分野での制裁緩和を提案するという。
ラブロフ外相は25日、訪問先のベトナム・ホーチミン市で「少なくとも国連安保理は南北の共同事業の実現を妨げるような制裁については緩和や解除ができる」と主張した。ロシア外務省によると、ラブロフ外相は26日に中国浙江省で王毅国務委員兼外相と会談。米朝首脳会談を前に北朝鮮の後押しで足並みをそろえ、米国をけん制する狙いもある。
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