図解
※記事などの内容は2019年1月21日掲載時のものです
【ワシントン時事】トランプ米大統領が就任3年目に入った。昨年は大統領権限を使って制裁関税を連発し、中国に「貿易戦争」を仕掛けた。今年は世界的な景気減速への懸念も高まり、対中貿易で「対話と圧力」の難しいかじ取りを迫られる。2020年の大統領再選につながる成果を求め、日本や欧州連合(EU)に矛先を向ける場面もありそうだ。
米中貿易協議は3月1日、昨年12月の首脳会談で決めた「90日間」の交渉期限を迎える。米国が問題視するのは、対米貿易黒字に加え、中国による知的財産権の侵害、米企業への技術移転の強要、産業補助金など。米国は構造改革を伴う措置の実施を定期的に検証する仕組みを導入するよう迫っている。
制裁関税の扱いも焦点となる。米国は昨年、2500億ドル(約27兆円)相当の中国製品に追加関税を発動。合意できなければ、このうち2000億ドル分への関税率を10%から25%に引き上げると表明した。ただ、高関税の悪影響が米経済に広がれば、再選の足かせになりかねず、対中協議の行方次第で制裁措置を撤回する是非を慎重に見極めることになる見通し。
トランプ政権は、今後、貿易協議を本格化させる日本、EUにも圧力を強める可能性がある。日本は非関税障壁、EUは農業を議論の対象から外すよう主張。これに対し、米国はこれらを含めた包括的な自由化を求める方針で、交渉前から認識の違いが露呈した。
自動車分野も、対日、対EU交渉の火種。米国は日欧の自動車に対する輸入数量の制限も視野に、厳しい姿勢で臨むとみられるが、日欧の反発は必至だ。米商務省はまた、輸入自動車・部品への追加関税に関する報告書を2月中旬までにまとめる。その後90日以内に大統領が最終的に決断するが、「自動運転車、電気自動車(EV)などに限定した課税案」(米経済団体)も浮上し、日欧は神経をとがらせている。
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