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【図解・国際】米国の景気拡大期間(2019年1月)

米国の景気拡大期間

「緩やかな利上げ」岐路に=景気拡大最長へ正念場-米

※記事などの内容は2019年1月2日掲載時のものです

 【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は、2019年に利上げペースの減速を見込み、従来の「緩やかな引き上げ」路線は岐路を迎える。米中貿易摩擦や世界の景気減速、株安という逆風に直面。米景気拡大期間の最長記録更新が今夏に迫る中、FRBは経済成長の維持へ正念場に立たされる。
 「数カ月前の想定より(成長が)いくらか鈍化した可能性を示す状況が見られた」。追加利上げを決めた昨年12月の政策会合後の記者会見。パウエル議長は景気の先行き不透明感が強まったと明言し、今年の想定利上げを2回と、昨年9月時点の3回から減らした理由を説明した。
 FRBは、15年末から「緩やかな利上げ」を開始。引き上げペースを徐々に加速させ、過去2年間はほぼ3カ月ごとに実施してきた。今年の利上げシナリオはこうしたパターンが崩れることを意味する。市場では「せいぜい1回」(米エコノミスト)と、年内の利上げ打ち止め観測もくすぶる。
 もっとも、FRBが予想する今年の成長率は2.3%と、18年(3.0%)を下回るものの、2%弱の潜在成長率をなお上回る。09年6月から始まった今の景気拡大は7月で10年を超え、記録が残る19世紀半ば以降の最長を更新する。全米企業エコノミスト協会(NABE)の調査では、今年後半に景気後退に陥る確率は20%、20年も30%にとどまる。
 ただFRBにとって悩ましいのは、49年ぶりの低失業率が続く一方、物価や賃金の上昇圧力が弱いため、利上げ継続を正当化しにくいことだ。量的金融緩和の正常化も金融引き締め効果をもたらしており、金利に敏感な住宅や自動車販売は弱含んでいる。米中貿易摩擦は企業の投資マインドを萎縮させている。
 さらにトランプ大統領によるパウエル議長更迭観測も金融政策に影を落としかねない。ある主要国の中銀幹部は「FRBは独立機関だが、大統領の批判を意識しないはずがない」と話す。20年の再選をにらんでトランプ氏の「介入」が強まると予想される中、金融政策に対する「信認維持」という責務もFRBにのしかかる。 

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