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【図解・国際】経済分野での米中の主張(2018年12月)

経済分野での米中の主張

米中泥沼、経済摩擦は長期戦=技術・投資競争へ波及

※記事などの内容は2018年12月29日掲載時のものです

 【ワシントン、北京時事】トランプ米政権が仕掛けた中国との貿易戦争。両国は今月から一時休戦して貿易協議を再開し着地点を探っているが、交渉期限の来年3月1日までに最終合意できるか不透明だ。貿易に端を発した対立は、最先端のハイテク技術開発やインフラ投資にまで戦線が拡大。2019年はアジア太平洋の経済覇権をめぐる米中の綱引きが一層激しくなりそうだ。
 米中貿易摩擦は安全保障問題も絡み複雑さを増している。19年は、国家情報網や軍事力を大きく左右する次世代通信規格「5G」の実用化が本格的に始まる5G元年とも言われ、大規模な国際会議も開かれる。中国政府が5G戦略の主軸に据える通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の副会長が米国の要請を受けカナダで逮捕されたことを機に、米国は今後も一部の中国製品の使用中止を国内だけでなく、日本などの同盟国にも強く働き掛け、対中包囲網の構築を急ぐ。
 米国の最大の狙いは、中国に国家主導の産業政策や知的財産権侵害を是正させること。米国は、中国が軍事転用も可能な最先端技術を官民一体で窃取していると主張。米国の消費者も打撃を受けている制裁関税と報復措置の応酬は当面控える一方で、産業スパイ行為などを理由に中国の個別企業や特定業種への制裁・規制を強化している。
 米中間ではインフラ投資競争も活発化しそうだ。米国は、アジアからアフリカにかけて経済圏を築く中国独自の構想「一帯一路」に対抗。政府系の投資公社や開発金融を再編し、19年からインド太平洋地域の投融資枠を大幅に増やす。途上国への過剰融資や軍事利用をもくろむ中国の「不公正な慣行」に矛先を向ける構えで、米戦略国際問題研究所は「米国は世界のサプライチェーン(部品の調達・供給網)から中国を切り離すことも視野に入れている」と対立の長期化を予想している。
 中国は国内景気の減速につながる貿易摩擦を早期に解消したい意向だが、米国や日本と並ぶ「製造強国」への飛躍を実現するためには、国力低下を招くような大幅譲歩は難しい。外国企業への技術移転強要を禁じる国内法整備や対米自動車関税の引き下げなど、矢継ぎ早に是正策を打ち出して批判をかわす目算とみられるが、米政権には「小手先の対応」(ナバロ米大統領補佐官)との疑念も根強く、事態打開に向けた道のりは険しい。 

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