図解
※記事などの内容は2018年12月2日掲載時のものです
【ブエノスアイレス時事】トランプ米大統領と中国の習近平国家主席は1日、ブエノスアイレスで首脳会談を開き、両国間の貿易戦争を「一時休戦」することで一致した。米国が年明けに予定した対中追加関税の25%への引き上げを当面凍結する一方、中国による知的財産権の保護強化などで協議を始めることを決めた。米国は交渉期限を90日としており、妥結できなければ、今回猶予した追加関税の引き上げに踏み切る考えを示した。
会談では、中国が米農産品の輸入を即座に開始することに同意し、工業品やエネルギーなどの輸入を大幅に増やす方針も伝えた。両国が貿易面の対立を当面激化させないことで歩み寄った。交渉決裂により世界経済に打撃を及ぼす深刻な事態を当面回避した格好だが、期限を切った協議で成果を見いだせるのかは依然、予断を許さない。
今後の協議は知財権のほか、米国が強い不満を抱く中国による技術移転の強制や非関税障壁などを話し合う。中国は、米国がこれまでに発動したすべての追加関税の撤回を目指す構え。貿易摩擦の解消に向けた抜本的な解決策は先送りされ、外交や軍事分野にまで対立が拡大し、「新冷戦」と呼ばれる事態になった根本的な溝も残った。
両首脳の会談は、米国が中国による知財権侵害を理由に制裁関税を仕掛けた7月以降初めてで、1年ぶり。米国からポンペオ国務長官、ムニューシン財務長官ら、中国から劉鶴副首相、王毅国務委員兼外相らが同席し、約2時間半行われた。
トランプ氏は「米中両国にとって無限の可能性がある素晴らしい生産的な会談だった」と成果を強調。習主席は会談で「協力が最善の選択だ。共に関心がある問題で意見交換し、次の段階の両国関係について計画を整えたい」と訴えた。
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