図解
※記事などの内容は2018年9月14日掲載時のものです
【ニューヨーク時事】「100年に1度」の金融危機をもたらしたリーマン・ショックから15日で10年。主要国・地域の大胆な金融緩和や財政出動で、世界経済は崖っぷちから回復し、長らく拡大局面を続ける。しかし、緩和マネーが流入した新興国で債務が膨張するなど危機対策の「副作用」も顕在化。次の危機を誘発しかねないリスクになっている。
「資産価格の上昇を後押しし、1700万人の雇用を創出した」。危機時に量的緩和を決断したバーナンキ元連邦準備制度理事会(FRB)議長は12日の討論会で、その効果に胸を張った。日本銀行や欧州中央銀行(ECB)もこれに続き、潤沢な緩和マネーは世界経済の回復を支え、米国をはじめ各国の株価を大きく押し上げた。
一方で、緩和マネーは不均衡も生んだ。国際金融協会(IIF)によると、世界全体の債務残高は2018年3月に247兆ドル(約2京8000兆円)と、危機時の08年9月から約4割増加。特に新興国には高い利回りを求めるマネーが押し寄せ、債務は約3倍の69兆ドルに積み上がった。
FRBが危機時に導入したゼロ金利政策や量的緩和を解除し、利上げを進めると、過剰な債務を抱える新興国経済を直撃した。
「リラを標的にした攻撃に打ち勝つ」。マネー逆流で通貨リラが急落し、最安値を次々と記録するトルコのエルドアン大統領はこう宣言した。アルゼンチンは国際通貨基金(IMF)への支援要請に追い込まれた。
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