図解
※記事などの内容は2018年6月6日掲載時のものです
シンガポールで12日に行われる史上初の米朝首脳会談。相まみえるのは、予測不可能と言われるトランプ米大統領と、核・ミサイルで瀬戸際外交を続けた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長だ。かつて「(正恩氏は)ロケットマン」「(トランプ氏は)老いぼれ」とののしり合ったリーダーの相性は?。二人の横顔を探った。
◇トランプ氏
実業家で「交渉の達人」を自任。米朝首脳会談をめぐっては、ツイッターなどで情報を小出しにして注目させる「広報役」も担った。北朝鮮が強硬姿勢に転じると、会談中止を通告するという北朝鮮顔負けの「瀬戸際戦術」を実行。会談の再設定に向け、正恩氏の側近に親書をワシントンまで持参させた。
1946年6月14日、ニューヨーク生まれの71歳。父から不動産開発会社を受け継ぎ、ホテルやカジノを展開した。トップとして得意の「ディール(取引)」を政治に応用。ただ、旗印とする「米国第一主義」が孤立や国際社会の混乱を招いたという指摘も。米朝首脳会談が実を結ぶのかも予断を許さない。
かつてテレビ番組に出演した経験から、5月の北朝鮮による拘束者解放も、空港で出迎えた自らが脚光を浴びる「外交ショー」に仕立てた。米朝首脳会談では11月の中間選挙に向けた成果や、ノーベル平和賞を狙っているとの見方も根強い。
◇正恩氏
北朝鮮を建国した故金日成主席が祖父。84年1月8日生まれの34歳とされる。母は故金正日党総書記の3番目の夫人で在日朝鮮人の故高英姫氏。子供時代に東京ディズニーランドを極秘訪問している。スイスに留学し、バスケットボールを愛した青年は「帝王学」を学び、父の死後に3代目の最高指導者に就任した。
核・ミサイル開発を繰り返し、後見人のおじらを粛清するなど、強硬姿勢を貫く。経済建設へのシフトを表明したのは、最近のことだ。一方、4月の板門店での南北首脳会談では、韓国の文在寅大統領に「(ミサイルで)大統領を未明に起こさないようにする」と冗談交じりに約束した。
正恩氏が2009年に結婚したとされる李雪主夫人は、芸術団出身。これまでの北朝鮮最高指導者の夫人と異なり、今年3月の訪中、4月の南北首脳会談の際に夕食会に出席した。トランプ氏のメラニア夫人はシンガポールに同行しない見通しだが、李夫人が現地を訪れ、ファーストレディー外交を展開するかも注目されそうだ。(時事)
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