図解
※記事などの内容は2017年4月6日掲載時のものです
18日の日米経済対話を控え、政府は6日に始まる米中首脳会談の行方を注視している。巨額の対中貿易赤字に不満を募らせるトランプ大統領は中国に赤字削減の具体策を迫るのかどうか。米中が互いに譲らず貿易摩擦に発展すれば、中国に次ぐ貿易赤字相手国である日本の自動車や農産物に矛先が向かいかねない。
2016年の米国の対中貿易赤字は3470億ドル(約38兆円)。米国にとって最大の赤字相手国で、トランプ氏は米中間の貿易不均衡を「不公平だ」と再三やり玉に挙げてきた。
米国の対日赤字は689億ドル(約7.6兆円)で、自動車関連が8割弱を占める。日米経済対話で日本は、米国の高速鉄道整備など前向きな分野での協力を模索し、自動車などへの議論の拡大を防ぎたい考えだ。
ただ、先行きは予断を許さない。経済産業省の幹部は「日本の自動車輸入関税はゼロで、市場は既に開かれている」と主張するが、米通商代表部(USTR)は貿易に関する年次報告書で、日本の自動車、農業分野を閉鎖的だと批判している。
米側は経済対話で、日本の安全基準が米国産車の輸入を阻む非関税障壁になっていると主張する可能性がある。また将来的には輸入台数の数値目標を求める恐れも指摘されている。
農業分野では米国が環太平洋連携協定(TPP)合意を上回る市場開放を要求するかが焦点だ。日本はTPPでコメや牛・豚肉など重要農産物5項目のうち、一部で関税撤廃などを受け入れた。
しかし、米政権は日本の農産物が依然として高関税に守られていると問題視しており、日本に一段の譲歩を迫るとみられる。米側の動向に神経をとがらせる自民党農林族の重鎮は「TPP合意の水準は絶対防衛ラインだ」とけん制する。
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