図解
※記事などの内容は2017年1月12日掲載時のものです
【ワシントン時事】米議会共和党は、輸入への課税を強化し、輸出は税を減免する「国境税」の導入を検討している。法人税制改革の柱となり、トランプ次期大統領が掲げる、企業の生産拠点の「米国回帰」を促す仕組みだ。ただ、保護主義的な面があり、世界貿易機関(WTO)協定に抵触する恐れがある。
共和党指導部による税制改正原案では、米国への輸入は経費控除を認めず、法人税負担が重くなる。一方で、輸出は税負担が軽くなり、優遇される。同党は、この仕組みを法人税率(最高35%)の引き下げとともに、次期政権幹部に説明し、支持を求めている。折り合いが付けば、2月にも法案を発表する。
トランプ氏はこれに同調するように「国境税」という言葉を使って、企業の米国外投資計画を批判。5日にはトヨタ自動車をツイッターで「巨額の国境税を課す」と脅した。
米国の連邦税制には、日本や欧州のような付加価値税(消費税)がない。日欧の企業は完成品の輸出時に原材料の仕入れで払った税を返金されるが、米企業は輸出時の税還付がない上、日欧などの輸出先で課税され、「貿易競争で不利」と不満を募らせていた。このため、国境税により企業の米国内投資、雇用創出が促されるとの期待がある。
しかし、WTOは原則、法人所得の税還付を輸出時に行うことを認めていない。また、輸出に有利な仕組みであることから、WTOが禁じる「輸出補助金」に当たるとの見方もある。
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