図解
※記事などの内容は2017年4月4日掲載時のものです
【ワシントン、北京時事】トランプ米大統領と中国の習近平国家主席が6、7日に初めて行う首脳会談では、トランプ氏が「不公平だ」と訴える米中の貿易不均衡が重要な議題となる。両国が貿易で衝突すれば、互いの損失は避けられない。トランプ氏は政権の体制が整っていないこともあり、習主席をけん制しつつ、妥協点を探るとの見方がある。
トランプ政権は「貿易赤字が経済、雇用を抑制している」と主張し、赤字削減が急務と訴える。米国の2016年のモノの貿易赤字は7343億ドル(約81兆円)。この半分近くを占める中国に、政権の矛先は向かっている。
トランプ氏は3月末に貿易赤字の要因調査を命じる大統領令に署名。今月2日付の英紙インタビューでは「中国に現状のような不公平な条件では貿易を続けられないと伝える」と語ったほか、中国の「為替操作」も攻撃した。医療保険制度改革(オバマケア)代替法案の頓挫など政権運営の迷走を、対外経済政策で挽回したい考えのようだ。
一方の習主席は、権力基盤固めの総仕上げとなる秋の共産党大会を控え、波風を立てたくない。中国にとって米国は最大の輸出相手国で、輸出額は全体の2割を占める。トランプ政権が関税引き上げなどの強硬措置に踏み切れば、持ち直しつつある景気に打撃となる公算が大きい。
習氏は1月、トランプ大統領の就任直前に世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「貿易紛争になれば双方とも傷を負うだけだ」と協調を呼び掛けた。鄭沢光外務次官も3月末に「貿易均衡化に向けて積極的な措置を講じたい」と表明した。
もっともトランプ氏が高圧的な態度を取れば、習氏は協力を拒みかねない。その場合、世界経済に深刻な影響が及ぶ米中貿易戦争の火種になる可能性がある。トランプ氏も「全面衝突」は避けたいとみられ、英紙の取材に関税引き上げは「まだ協議したくない」と先送りを示唆した。
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