図解
※記事などの内容は2016年11月6日掲載時のものです
【ワシントン時事】米大統領選の民主党候補ヒラリー・クリントン前国務長官は外交政策で同盟重視の姿勢を前面に出し、オバマ大統領の国際協調路線を継承する方針だ。これに対し、「米国第一」を掲げる共和党候補のドナルド・トランプ氏は、日本など同盟国に負担増を求める立場を一貫して主張している。
クリントン氏はオバマ政権1期目の国務長官として、ブッシュ前政権の「単独行動主義」によって失われた米国への信頼回復に努めた。就任後最初の外国訪問先に日本を選ぶなど、オバマ政権が掲げるアジア太平洋に外交・安保の軸を移すリバランス(再均衡)政策も主導した。
クリントン陣営は「アジア重視を再定義し、日韓やオーストラリアといった同盟国との関係を一段と強化する」と説明。クリントン氏は公約で、同盟を背景に「サイバーや領土紛争、人権問題などで中国にルールを順守させる。守らなければ代償を科す」と明言する。
一方、トランプ氏は日本や北大西洋条約機構(NATO)諸国などに対し、同盟国側の負担増を要求。日本防衛の義務を放棄するとも取れる発言などを繰り返している。
クリントン氏との違いが際立っているのは、過激派組織「イスラム国」(IS)掃討戦で、シリアやウクライナをめぐって対立するロシアとの連携を模索していることだ。ただし、紛争地域に米地上部隊を派遣する考えはなく、クリントン氏と同様に中東情勢の打開策は示せていない。
両氏は環太平洋連携協定(TPP)には、そろって反対。米有力シンクタンクのアジア専門家は「アジア太平洋域内の秩序になるTPPの有無で、状況は一変するが、新大統領の政策が何であれ、実現する保証はどこにもない」と警告した。
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