図解
※記事などの内容は2011年12月31日掲載時のものです
【ワシントン時事】米国では今年11月、4年に一度の大統領選が行われる。現職のオバマ大統領は再選を目指すが、当初掲げた変革への期待は長引く景気低迷から失望に変わり、前回勝利の原動力となった若年層などの離反が顕著。再選に向け苦戦は必至で、頼みは敵失だ。
故郷のハワイで家族と休暇を過ごす大統領は趣味のゴルフに興じるなど充電中。4日には、大統領選の結果を左右する最重要州の一つ、中西部オハイオ州で今年初の遊説を行う。
ギャラップ社の世論調査によると、大統領の最新の支持率は43%(不支持率48%)。2期目を目指した歴代大統領の同時期の支持率と比べると、最悪の部類に入る。
オバマ氏を大統領に押し上げたのは若者、女性と中南米系や黒人といったマイノリティー(少数派)。しかし就任時と比べ、その支持率は若者が75%から50%、女性が69%から44%、中南米系が74%から52%と大幅に落ち込んだ。
現状への不満を込め、「ウォール街を占拠せよ」を合言葉に、ニューヨークから全米に広がった反格差運動の主な参加者は若者だ。共和党の反対で大型景気対策が宙に浮いた昨年10月、大統領が打ち出した議会承認不要の景気浮揚策の一つが学生向け教育ローンの負担軽減だった。
このとき、大統領は「私は若い人たちの力を必要としている」と訴えた。しかし、社会運動が専門のジャック・ゴールドストーン米ジョージメーソン大教授は「失望により彼らの多くは棄権に向かうだろう」と予想する。
ただ、社会保障税の減税延長をめぐり共和党が妥協を拒んだ12月中旬、大統領支持率は一時的に不支持率を上回った。CNNテレビの最近の世論調査で「オバマ氏を人間としてどう思うか」と尋ねたところ、76%対19%でプラス評価が圧倒的。就任後、一貫してこのレベルを維持している。
経済低迷の「結果責任」として支持率は伸び悩むが、好感度は高い。対する共和党の大統領候補は人格面を非難し合い、レースをリードするロムニー前マサチューセッツ州知事は、状況次第で発言内容が変わる「ぶれる男」のイメージが定着した。これが最後にものを言う可能性はある。
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