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【図解・国際】米国の実質GDP

米国の実質GDP

なるか「4%成長」=トランプ財政、景気浮揚へ-保護主義で世界経済波乱も

※記事などの内容は2016年12月28日掲載時のものです

 【ワシントン時事】「年4%成長」を掲げるトランプ米政権が20日に誕生する。大規模な財政刺激策や規制緩和で、伸び悩む景気の浮揚を狙う。しかし、新政権が保護主義に走るのを懸念する声も多く、中国との経済摩擦激化などで世界経済が波乱に見舞われる恐れもある。
 トランプ新大統領は、空港や道路などのインフラ整備・改修に5500億ドル(約64兆円)を投資するほか、法人税を現状の35%から15%に引き下げると表明。同時に、オバマ政権が進めた環境、金融規制を緩和する意向だ。ムニューチン次期財務長官ら規制反対派で閣僚を固める。
 経済協力開発機構(OECD)は、こうしたトランプ政権の景気刺激策が2017年の米成長率を約0.4%押し上げると分析している。
 しかし、各種政策の財源を税収に依存するなど、不確実な面も多い。昨年11月の大統領選後、米市場では財政刺激策への期待から株価が急上昇した。一方で、大幅な財政悪化見通しから、長期金利が上昇し、ドル高が進んだ。
 トランプ氏は、環太平洋連携協定(TPP)離脱方針を表明している。中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した01年以降、「米国の雇用が奪われた」と、自由貿易への不満を隠さない。ドル高による輸出不振が顕在化すれば、輸入制限に踏み込む可能性もある。
 海外に移転した企業からの輸入には35%の関税を上乗せする政策案も示した。また、商務長官に指名されたロス氏は、中国企業に対する高関税率の適用を「最終手段だ」としながらも、中国を高関税で脅し、揺さぶりたい思惑がうかがえる。
 中国は制裁関税や脅しには速やかに反発する公算が大きい。ピーターソン国際経済研究所は米中などが全面的な「貿易戦争」に突入すれば、米成長率は19年にマイナス0.1%に落ち込むと予測。日本などアジア諸国も深刻な打撃を受けそうだ。
 サマーズ元財務長官はトランプ氏の政策を「その場しのぎ」などと批判。米国が「(開発独裁を進めた)スハルト政権下のインドネシアやプーチン政権のロシアのようになる」と懸念する。

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