図解
※記事などの内容は2019年9月6日掲載時のものです
楽天は携帯事業への本格的な参入が遅れることを明らかにした上で、注目されていた料金プランの発表を先送りにした。値下げ競争の起爆剤として期待が高まっていたが、冷や水を浴びせられた格好で、携帯大手3社の戦略にも影響を与えそうだ。楽天の三木谷浩史会長兼社長は6日の記者会見で強気の姿勢を崩さなかったものの、巻き返しへの道筋は見えていない。
大手各社は10月に始まる新ルールへの対応とともに、楽天の出方をうかがってきた。NTTドコモとKDDI(au)は6月から通信料が最大4割下がる新プランを開始したが、ソフトバンクを含めた3社は、楽天の動向次第で、さらなる値下げを示唆していた。
ただ、楽天が料金発表を先送りし、値下げ競争はいったん落ち着く見通しだ。楽天の会見に先立ち、ソフトバンクが2年間の利用を条件に通信料を割り引く「2年縛り」の廃止を発表したものの、料金水準は現行のままだった。ドコモとKDDIも当面は大幅な見直しを見送る公算が大きい。
三木谷氏は「(楽天の参入表明で値下げの)1次効果は既に出ている」と強調。今後発表する料金については「他社がまねすることができないものになる」と自信を示した。大幅に遅れる基地局整備も「計画は順調」との主張を繰り返した。本格サービス開始の時期は最後まで明らかにせず、歯切れの悪い会見となった。
MM総研の横田英明研究部長は「大手3社の横並び打破には楽天の参入が不可欠」と指摘する。政府主導の携帯値下げの成否は楽天が鍵を握るとも言える。本格参入を前に大きな期待と不安が入り交じる中、楽天には早期に具体的な事業計画を示すことが求められそうだ。
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