図解
※記事などの内容は2019年4月16日掲載時のものです
大手住宅設備メーカーのLIXILグループが首脳人事をめぐって揺れている。昨年秋、瀬戸欣哉社長兼最高経営責任者(CEO)を事実上更迭し、創業家出身の潮田洋一郎氏が会長兼CEOに返り咲く人事を決定。これに海外の機関投資家が異議を唱え、5月に潮田氏らの解任を議題に臨時株主総会が開かれる事態へと発展した。取締役に降格された瀬戸氏も4月に入り、現経営陣の一部から支持を得てトップ復帰を目指すと宣言。対立は先鋭化するばかりだ。
一連の人事は、経営方針をめぐる潮田氏と瀬戸氏の対立が引き金だった。住友商事出身で「プロ経営者」として2016年にLIXILに招かれた瀬戸氏は、前任の藤森義明元社長が進めた海外での大型買収を封印。事業の選別にかじを切ったが、潮田氏は「再び積極経営に転じたい」と拡大路線を志向した。
瀬戸氏は今春、社長の座も追われ、後任に昨秋まで社外取締役だった山梨広一最高執行責任者(COO)が就任した。瀬戸氏は今月5日の記者会見で「退任には最後まで納得できなかった。自分が戻ることで会社を正しく導ける」と訴え、トップ復帰を目指して自身を支持する取締役候補8人を採用するよう会社に提案した。
取締役候補を決める指名委員会は瀬戸氏側候補のうち社外取締役候補4人との面談を15日に行ったが、瀬戸氏側の提案を受け入れるかは不透明。会社が受け入れない場合、瀬戸氏側は6月の定時株主総会で取締役候補を株主として提案する予定だ。
瀬戸氏の「復帰」宣言に先立ち、3月下旬に臨時総会の開催を要求した英マラソン・アセット・マネジメントなど海外機関投資家4社は「適正かつ適切な指名手続きが行われていなかった」と潮田、山梨両氏の解任案を突きつけた。
「反潮田」陣営には、2001年に現LIXILグループの傘下に入った衛生陶器メーカーINAX創業家の伊奈啓一郎取締役らも名を連ねる。臨時総会、定時総会ともに他の株主に賛同を呼び掛ける委任状争奪戦へ持ち込む考えはないというが、マラソン社日本調査担当の高野雅永氏は「運用会社などの大株主は責任ある行動を取ってくれる可能性が高い。勝てるチャンスは十分にある」と可決に自信を示している。
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