図解
※記事などの内容は2017年10月26日掲載時のものです
神戸製鋼所の品質データ改ざん問題で、出荷先525社の約2割に当たる88社は、いまだに安全確認ができておらず、調査完了のめども立っていない。一部の製品は、サプライチェーン(供給網)が複雑で、どの製品に使用されているか、把握が困難なためだ。
安全確認ができていない88社のうち、もっとも多いのは、半導体などに使用される銅板の出荷先(35社)。半導体は、電気製品や自動車など幅広い製品に使われる上、部品メーカーが細かく加工するため、膨大な確認作業に手間取っている。
自動車などに使用されるアルミ板も事情は同じで、出荷先の20社以上で検証が終わっていない。次々と新たな不正が発覚し、追加調査が必要になっている例もある。
英国向け高速鉄道車両で不正のあったアルミ素材が使用されていた日立製作所。部品が必要な強度を確保していることは確認したが、鉄道車体・台車以外の製品では使用状況を把握する作業が続く。開発中の国産小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)での使用が判明し、安全性を確認した三菱重工業も他の製品の状況は調査中だ。
不正発覚後、ある機械メーカーは顧客から神鋼製品の使用状況を今月25日までに調べるよう求められた。ただ、「社内調査が終わらず、11月中旬まで回答を待ってもらったが、間に合うか分からない」(同社関係者)と明かす。
また、神鋼が、当面の安全性を確認できたとする437社のうち、117社は神鋼側で安全性が高いと判断しただけで、出荷先による検証はこれから。
神鋼に部品交換の費用負担を求める動きも出始めている。JR西日本やSUBARU(スバル)は費用請求も視野に入れている。神鋼は原則請求に応じる方向だ。こうした動きが広がれば、神鋼の業績に大きな影響が出るのは必至だ。
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