図解

【図解・経済】東芝をめぐる3陣営買収案の長所・短所(2017年9月)

東芝をめぐる3陣営買収案の長所・短所

短期決着へ、米WDの譲歩焦点=3陣営案に一長一短-東芝の半導体売却

※記事などの内容は2017年9月2日掲載時のものです

 東芝は半導体子会社「東芝メモリ」の売却交渉で、提携関係にある米ウエスタンデジタル(WD)との本格交渉を受けた8月末の売却決定に至らず、9月以降もWDを含む3陣営と交渉を続けることになった。米アップルを加えて巻き返しを狙う「日米韓連合」の新提案も選択肢となるが、主力取引銀行が求める9月半ばまでの短期決着を図るには、本命視されるWDから譲歩を引き出せるかどうかが焦点となる。
 東芝は8月31日に開いた取締役会後、WD連合、韓国半導体大手SKハイニックスを含む日米韓連合、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業を中核とする企業連合の3陣営と半導体売却交渉を継続し、「可及的速やかな契約締結を目指す」と発表した。来日していたWDのミリガン最高経営責任者(CEO)と綱川智東芝社長のトップ交渉を経て、取締役会でWDへの売却決定を目指したが、子会社経営への関与をめぐる思惑の違いなどから折り合わなかった。
 WDに不信感を持つ東芝幹部らの間には、このトップ交渉前後に日米韓連合が示した新たな買収案との比較検討を求める声も強まり、売却先が決まらないままミリガン氏は帰国の途についた。
 3陣営のうち、鴻海案は金額面などの条件が他陣営を上回っているもようだが、日本政府は中国に生産拠点を持つ同社への半導体売却を、技術流出につながると強く懸念。売却対象は事実上、残る2陣営に絞られた。
 日米韓連合はいったんは「優先交渉先」に選ばれたが、中核となる政府系ファンドの産業革新機構が、自陣営以外への子会社売却差し止めを求めるWDとの係争解決を出資の条件としたことから、交渉がストップ。革新機構はその後、WD陣営にも加わった。
 このため日米韓連合は新提案で、まず東芝や米ベインキャピタル、アップル、SKなどが子会社に資金拠出し、係争解決後に革新機構などに子会社株を売却して日本勢が主導権を確保する道筋を示した。
 2期連続の債務超過による上場廃止を回避するため、来年3月末までの資金確保が不可欠な東芝の要求にも合致するが、WDが子会社売却の差し止めに成功すれば全てがご破算となる。また同連合の韓国SKはWDと同様、将来的に半導体子会社の経営に関与したい考えとみられ、「簡単に飛びついて痛い目を見ないのか」(東芝関係者)との懸念もある。
 今後の焦点は、日米韓連合の新提案を受けてWDが一定の譲歩を示すかどうか。東芝とのメモリー合弁事業に巨費を投じているWDも係争の長期化は避けたいはずだが、子会社売却の大前提となる独禁法審査には半年以上かかるとされ、東芝に残された時間は少ない。 

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