図解
※記事などの内容は2017年1月27日掲載時のものです
東芝は27日、主力の記憶用半導体フラッシュメモリー事業を3月31日をめどに分社化すると発表した。最大6800億円程度に膨らむ可能性がある米原発事業の巨額損失で減少する資本を増強するため、優良事業を本体から切り離し、外部の出資を仰ぐ。メモリー会社の価値を1兆5000億円程度と想定。20%未満の出資を得て、2000億~3000億円の資本を調達する方針だ。
記者会見した綱川智社長はメモリー事業の分社について、「継続投資による競争力強化と、グループの資本増強が可能になる」と強調した。出資企業を選ぶ入札を2月中に実施し、3月末までの手続き完了を目指す。3月下旬に臨時株主総会を開き、承認を求める。
巨額損失を受けての進退に関し、「責任は重く感じている。去就は(社長を選ぶ)指名委員会に委ねる」と述べた。
原発事業については、最重点との位置付けを見直し、エネルギー部門から独立させて社長直轄とし、米原発子会社ウェスチングハウスへのガバナンスを強化する。綱川氏は「国内は廃炉、保守・改修を中心に社会的責任を果たす。海外は今後の在り方も含め見直す」と表明した。安全規制の強化で原発建設コストは大幅に上昇している。原発の立て直しに関し、「建設を含まない方向で進める。新規受注は考え直す」と語った。
東芝は原発損失の発覚前、2017年3月期の連結純利益を1450億円、期末の株主資本を3200億円と見込んでいた。2月14日に米原発事業の損失額と16年4~12月期決算を発表し、原発事業について新たな方向性を示す。
巨額損失で負債が資産を上回る債務超過に陥る恐れがある。綱川氏は保有する株式や不動産の売却を進める考えを示し、「債務超過の回避に向けて資本増強をあらゆる手段で進めたい」と述べた。
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