図解
※記事などの内容は2016年7月20日掲載時のものです
ノンアルコールビールの特許をめぐる訴訟で対立していたサントリーホールディングスとアサヒビールが、和解した。ビールや発泡酒の消費量が減少する中、健康志向の追い風を受けるノンアルビールは一定の需要が見込める上、酒税がかからない「ドル箱」商品。両社は争いの場を法廷から店頭に移し、夏の需要最盛期の「陣取り合戦」に全力を挙げる。
ノンアルビールは業界各社の参入や味の改善により、2009年ごろから急成長した。ただ、ここ2、3年は伸び率が鈍化し、今年は前年比1~2%程度の成長にとどまる見通しだ。各社の競争はシェアの奪い合いに移っている。
特許権を侵害されたとして訴えを起こしていたサントリーの「オールフリー」は、カロリーと糖質をともにゼロにしたことが支持され、10年の発売後間もなくノンアルビールで販売トップに立った。しかし、その後アサヒが「ドライゼロ」で追い上げ、15年に逆転した。
波に乗るアサヒはこの7、8月、ドライゼロを前年比で3割増産する計画。サントリーも、8月までに約20万人を対象とするオールフリーの試飲を進めるほか、オフィスや公衆浴場に専用自販機を設置するなどして巻き返しを狙う。
キリンビールやサッポロビールも、「食後の血糖値上昇を抑える」など機能性をアピールするノンアル商品で、先行する2社を追撃する構え。限られたパイの奪い合いは、今後一段と激しさを増しそうだ。
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