図解
※記事などの内容は2018年10月12日掲載時のものです
九州電力は、太陽光発電事業者に対し、発電を一時停止させる「出力制御」に踏み切る。電力需給のバランスが崩れ、大規模停電に陥る事態を避けるのが目的だ。大手電力関係者は「苦肉の策」と説明するが、制御が頻発すれば、再生可能エネルギー事業にとっては重荷となり、普及への逆風となる可能性がある。
再エネ普及の契機となったのは、東京電力福島第1原発事故後の2012年に導入された「固定価格買い取り制度」(FIT)で、大手電力に定額での再エネ電気の購入を義務付けた。日照条件が良い九州では、太陽光の出力が8月末時点で約807万キロワットと、12年度末から7倍増となり、中国・四国などでも拡大している。
ただ、電力の供給は常に需要と一致させる必要がある。太陽光はあらかじめ定めた量の供給が難しく、好天で発電量が急増すれば、需給バランスが崩れ、9月に北海道で起きたような広域での停電につながる可能性もある。
九電は、管内で原発を4基再稼働させている。原発は小刻みな出力調整が技術的に難しいため、国のルールで発電が最も優先されている。同社は今月1日、火力発電所の出力を落としたほか、管内で消費できない電力を関西電力などに融通してきたが、今回「調整力の限界を超える」と判断し、太陽光の出力制御を決めた。
政府はエネルギー基本計画で、30年までに再エネを「主力電源」にする方針を示している。だが、再エネの安定供給には課題も多く、過剰供給となる電気をためる蓄電池の普及などが今後の再エネ普及の焦点となりそうだ。
新着
会員限定