図解
※記事などの内容は2018年9月21日掲載時のものです
北海道地震による大規模停電(ブラックアウト)をめぐり、北海道電力が地震後に行った強制停電で、事前設定した146万キロワットの停電可能枠を全て使っていたことが、21日明らかになった。ブラックアウトの原因究明を行う電力広域的運営推進機関(東京)の第三者委員会が同日、東京都内で開いた初会合で、関連資料が公表された。
強制停電の設定枠を使い切ったにもかかわらず、地震に伴う電力の需給バランスの乱れに対応できなかった。需給調整の「命綱」とされる枠の設定の妥当性について、横山明彦委員長(東京大大学院教授)は終了後の記者会見で、『今後検証していかなければならない』と述べた。
広域機関は初会合で、地震により6日午前3時8分に道内最大の苫東厚真火力発電所の2、4号機が停止してから、最終的に1号機の停止でブラックアウトが起きた同25分までの18分間について、北海道電の対応などを説明。それによると、地震直後の電力供給力の落ち込みは、発生前の電力需要の6割弱に当たる約181万キロワットに達した。苫東厚真2、4号機停止に伴う116万キロワットに、水力発電停止分(43万キロワット)、1号機の出力低下(5万キロワット)などが加わったためだ。
水力発電は、送電線の事故で道東地域が停電となったことから、一時的に同地域で供給が過多となり停止したとみられる。
電力は需給バランスを一致させて供給しないと、発電設備の故障などを招く。このため、北海道電はブラックアウトまでの間に3回、強制停電による需要の低下で需給調整を図ったが、対応しきれなかった。
一方、ブラックアウトには直接関係しないものの、北海道電の人為的なミスも明らかになった。1回目の強制停電の際に誤って6万キロワット分を再送電。強制停電のシステムの設定ミスが原因とみられる。
第三者委は10月末までに中間報告を作成し、年内にも最終報告をまとめる方針だ。
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