図解
※記事などの内容は2017年3月18日掲載時のものです
東京電力福島第1原発事故の後、電気料金を値上げした全国の電力会社7社のうち、中部電力など5社が値上げ後に再開した株式の配当が総額900億円余りに上ることが18日、各社の有価証券報告書(有報)で分かった。5社は値上げ効果もあって業績を回復したが、値下げは先送りしている。
事故後、原発が想定通りに稼働しないことなどを理由に料金の値上げに踏み切ったのは東京、関西、九州、北海道、東北、四国、中部の電力7社。東電と関電を除く5社は値上げ後に配当を再開した。
5社の有報によると、値上げ実施から2016年末までの間に、最も配当額が多いのは中部電で計約379億円。同社は14年5月に値上げしたが、15年3月期には黒字となり、約76億円の配当に踏み切った。15年度は計約189億円、16年度も中間期だけで約114億円を配当している。
次に多かったのは東北電で計約299億円。値上げは13年9月からだが、14年3月期には黒字となり、約25億円の配当を決めた。中部電と同様、その後も配当は増え続けている。四国電も15年3月期に約42億円を配当。15年度も同額配当だった。
九電は16年3月期に約95億円の復配を決定。北海道電は13年9月と14年11月の2回にわたり値上げを行い、電気料金は全国で最も高いが、16年3月期に約47億円の配当を実施した。
一方、賠償や廃炉に巨額の費用が必要な東電は、黒字になっても配当はしていない。関電も「財務体質の健全性確保の時期が見通せない」として配当を見送っている。中国電力と北陸電力、沖縄電力は原発事故後、値上げをしていない。
値下げはせずに配当を再開したことについて、5社は「料金の新メニューは提案している」(北海道電)、「配当は最低限の義務」(四国電)などと説明している。
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