図解
※記事などの内容は2020年1月14日掲載時のものです
沖縄県で1986年秋以来、約33年ぶりに家畜伝染病「豚コレラ(CSF)」の発生が確認されてから15日で1週間。感染養豚場は計3カ所6施設、殺処分された豚は計約7300頭に拡大し、死骸の埋却、施設の消毒などの防疫作業が夜を徹して行われている。国や県は感染ルートの解明を急ぐ一方、在来の希少種「アグー」の絶滅回避に向け、繁殖の元になる親豚を県内の離島などに一時隔離する検討を始めた。
CSFは8日、沖縄本島中部に位置するうるま市の養豚場で感染が確認され、10日には隣接する沖縄市の養豚場でも見つかった。海に囲まれた沖縄での感染は、2018年秋以降に続いた野生イノシシなどを介したとされる本州での拡大とは別ルートとみられ、感染経路の解明が進められている。
沖縄では「鳴き声以外は全て食べる」と言われるほど、豚は欠くことのできない食材。中でもアグーは、約600年前に中国から渡ってきた豚を起源とした沖縄独自の品種で、甘みとうま味のある霜降りの肉質は全国的にも高い人気を誇っている。
県はCSFの拡大に加え、県の特産品でもあるアグーへの感染について「これ以上広がれば観光面にも影響が出かねない」(畜産課)と今後の展開を憂慮。こうした声を受け、江藤拓農林水産相は14日、アグーの親豚を離島などに隔離する方針を表明した。感染地での豚の移動はウイルス拡散の恐れがあるが、国が移動や隔離施設の確保に必要な費用を助成するなど、全面的に支援するという。
県は、感染拡大を防ぐためワクチン接種も検討。しかし、接種に踏み切ればアグーブランドの価値が損なわれる可能性もあることから「総合的に判断していきたい」(同)としている。
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