図解
※記事などの内容は2019年11月25日掲載時のものです
農林水産省は、アジアで猛威を振るう家畜伝染病「アフリカ豚コレラ(ASF)」が国内で起きた場合に備え、発生地に近い養豚場の豚を未感染でも予防的に殺処分できるよう法改正する。国内で相次ぐ「豚コレラ(CSF)」よりも感染力が強く、有効なワクチンがないためで、殺処分でまん延を防ぐ。
現行の家畜伝染病予防法で、予防的殺処分ができるのは2010年に宮崎県で流行した口蹄(こうてい)疫に限られる。農水省はASFも対象とする改正案を来年の通常国会に提出する方針。
予防的殺処分を実施するのは、ASFが確認された施設から半径数キロ圏内の養豚場となる見込み。ただ、養豚業に打撃を与えるため、実施範囲などに関し専門家の意見を聞きながら判断する。
ASFやCSFへの対応を迅速化するため、国の権限も強化する方針。衛生管理がずさんな養豚場に対する指導・命令などを国が都道府県に指示できるようにする。
ASFは昨夏に中国で発生を確認して以降、アジア全土で流行。今年9月には韓国に飛び火し、「いつ日本で発生してもおかしくない状況」(農水省幹部)という。訪日外国人客らが違法に国内に持ち込もうとしたソーセージなどからウイルスが検出される事例も相次ぎ、件数は80を超えた。
農水省は空港などに約40頭配置している探知犬を、20年度には140頭まで増やし、水際対策を徹底する。中国とは農畜産物の検疫強化に関する覚書を締結し、X線検査での技術協力や旅行客への広報活動などで連携を進める。
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