図解
※記事などの内容は2019年10月10日掲載時のものです
東京・豊洲市場(江東区)が旧築地市場(中央区)から移転、開場してから11日で丸1年。土壌汚染問題によりおよそ2年遅れのスタートとなったが、都の追加対策により心配された風評被害もなく、順調に営業を続けている。日本の「新たな台所」として期待は高まるが、魚などの卸売りには課題が見え始めている。
豊洲市場は約40ヘクタールで築地の1.7倍の広さ。最新鋭の閉鎖型施設で、衛生・低温管理が最大の強みだ。活発な取引を見込んで、都は移転前に2023年度の水産物取扱数量を約62万トンと、築地時代を大幅に上回る目標を掲げたが、実現は厳しい状況だ。
都のまとめによると、移転前から取扱量は減少の一途。巻き返しを図りたいが、豊洲でも傾向は変わらず、今年1~8月の水産物の取扱量は約22万トンで、前年同時期に比べ若干減少。目標達成への兆しはない。
期待に反して水産物の入荷が減っているのは、旬の魚の極端な不漁だ。同市場卸会社によると、秋が旬のサンマは今年、大不漁に見舞われており、北海道産などの豊洲への入荷は前年の2割ほどという。秋サケやイカ漁なども低調で、仲卸業者や料理店など買い出し人も「仕入れの目玉が見つからない」と不満の表情を浮かべる。
卸会社からは「今は量を増やすことよりも、消費者ニーズを捉えて質にこだわることが重要」と見る向きもある。来年の東京五輪・パラリンピックを控え「海外に向け豊洲の魚をアピールしたい」(卸)との声もあり、「各業者の総合力で何とか市場を盛り上げていきたい」(同)と意気込んでいる。
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