図解
※記事などの内容は2019年9月6日掲載時のものです
【ポートランド時事】米ポートランドで開かれた太平洋クロマグロの資源管理策を話し合う国際会議「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の北小委員会は6日午後(日本時間7日午前)、日本が2020年に限り、台湾から余っている大型魚の漁獲枠300トンを譲り受けることで合意し、閉幕した。一時的だが、日本にとって大型魚は実質約6%の増枠となる。日本が提案した全体の漁獲枠拡大は米国の反対で見送られた。
日本の現行の漁獲枠は小型魚(30キロ未満)が4007トン、大型魚(30キロ以上)が4882トン。日本は17、18年の稚魚の数量増加などを理由に小型魚で10%、大型魚で20%、それぞれ枠を拡大するよう提案した。
これに対し、米国は資源量が依然低水準にとどまっていると主張し、強く反対。議案の可決は全会一致が原則で、日本の増枠提案は前年に続き認められなかった。日本は来年の北小委で、資源量などの最新データを踏まえ、改めて増枠を提案する方針。
日本は事前に、米国から同意を得られない可能性があると想定。台湾と水面下で交渉し、大型魚の漁獲枠の一部を譲り受けることで合意し、北小委でも認められた。
北小委ではまた、漁獲枠を使い切らなかった場合、枠の5%まで翌年に繰り越せる現行制度を、20年に限り17%に引き上げることでも一致した。台湾からの譲り受けを含め、21年以降の扱いは来年協議する。
水産庁の太田慎吾資源管理部審議官は閉幕後、記者団の取材に対し、全体の増枠見送りについて「すごく残念だった」と述べた。20年の暫定措置に関しては「それほど大きなお土産ではないが、全くないよりはよい」と語った。
親魚の数量は最盛期の1961年に約17万トンに上っていたが、乱獲により10年には約1万2000トンまで減少。WCPFCは15年から各国・地域に漁獲上限を導入し、24年までに約4万3000トンに増やす目標を掲げている。
新着
会員限定