図解
※記事などの内容は2019年9月27日掲載時のものです
農林水産省は27日、家畜伝染病「豚コレラ」のまん延防止に向け、現在認められていない予防的なワクチン接種を行えるようにした防疫指針の改正案を取りまとめた。使用する地域は、感染した野生イノシシが存在し、豚への感染リスクが高い岐阜など9県が対象となる見通し。ワクチンを接種した生きた豚や受精卵は域内にとどめるが、精肉や加工品の域外流通を認める。
この結果、日本は来年9月、国際ルールで定める「非清浄国」に13年ぶりに格下げされることが確実となった。アジア向けが中心の豚肉の輸出に影響が出る可能性が高い。
改正案には、野生イノシシから豚への感染リスクが高いエリアを「ワクチン接種推奨地域」とし、都道府県知事の判断で使用できると明記。養豚場で豚コレラが発生した岐阜、愛知、三重、福井、埼玉、長野6県に加え、感染した野生イノシシが見つかった石川、富山、滋賀3県が近く選定される見通し。
ワクチンを使うと豚の体内に抗体ができ、感染豚との区別が付かなくなり、ウイルスを拡散させるリスクがある。このため、生きた豚の移動は接種地域内に制限する。
農水省は一時、豚肉や加工品の流通を接種地域内に限定することも検討したが、見送った。製品の流通管理の仕組みづくりが困難と判断したことが理由。
改正案について国民から意見を募集した後、正式に指針を見直す。備蓄用のワクチンを使い、早ければ来月にも接種が始まる。
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