図解
※記事などの内容は2019年9月4日掲載時のものです
【ポートランド時事】太平洋クロマグロの資源管理を協議する国際機関「中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)」の北小委員会が3日(日本時間4日)、米ポートランドで開幕し、初日の討議を終えた。日本と韓国が提案した漁獲枠拡大に、米国は資源量の低迷などを理由に反対しているとみられる。増枠を求める日韓の間にも増枠分の配分をめぐって溝があり、4日以降の協議も難航しそうだ。
高級すしネタとして人気のクロマグロは乱獲を背景に、繁殖能力のある親魚の資源量が1961年の約17万トンをピークに減少傾向が続き、2010年には約1万2000トンまで激減。資源量は近年回復傾向にあるが、米国は「増枠は時期尚早」として、昨年に続き慎重な姿勢を崩していない。
日本は小型魚(30キロ未満)で10%、大型魚(30キロ以上)で20%、それぞれ現行枠を拡大することを提案。大型魚の増枠分(1300トン)を日本と台湾、韓国の3カ国・地域で分け合う。
韓国は大型魚の枠を全体で1650トン増やし、日本に1300トン、韓国に350トン、それぞれ配分する案を示している。現在、大型魚の枠がない韓国は小型魚の枠を大型魚に振り替え、漁を行っている。08~17年の平均漁獲量は90トン程度にすぎず、大型枠350トンの新設を、日本は「法外な要求」(水産庁幹部)と捉え、容認しない考え。
日韓の協議には、東京電力福島第1原発事故後に韓国が実施している福島など8県の水産物の輸入禁止措置が影を落とす。今年4月には韓国の措置を協定違反だとして提訴した世界貿易機関(WTO)で日本が敗訴。水産庁の別の幹部は「譲歩したら漁業者に顔向けできない」と話す。増枠を求める日韓の足並みはそろっておらず、協議の行方は見通せない。
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