図解
※記事などの内容は2019年5月5日掲載時のものです
体が褐毛(あかげ)で覆われた褐毛和種(通称あか牛)の肉が、健康志向の高まりを受け、注目されている。赤身中心の肉質はあっさりした味わいが特徴。女性を中心に、最近は高齢者からも支持を得ている。主産地の熊本県や高知県は、家庭や飲食店での一段の浸透を図ろうと、大都市圏での売り込みに力を注ぐ。
国内の肉用牛飼養頭数は、黒毛が全体の6割超を占め、あか牛は1%に満たない。同じ和牛でも、脂が乗った霜降りの黒毛とは異なり、余分な脂肪が少なく、グルタミン酸などの成分を豊富に含む「うま味」を感じられるのが魅力だ。
畜産関係者は「カロリー摂取や美容などに気遣う風潮を映し、赤身肉を好む消費者は増加傾向」(日本食肉消費総合センター)と指摘。黒毛に比べ割安な価格も強みという。
飼養頭数は、ここ数年、2万1000頭台で横ばいだが、人気の目安となる肉用子牛の取引価格(熊本県内出荷分)は、2017~18年が1頭当たり約60万~70万円台で、5年前の30万~40万円台から大幅に上昇している。
熊本県は、大阪で観光物産展を開催するなど消費拡大キャンペーンや、流通業者と連携した販路の確保・拡大に力を入れる。担当者は「黒毛とは違う、もう一つの味を知ってほしい」と訴える。東京などのレストランのシェフを対象にイベントを定期開催している高知県は、素材の良さを知ってもらうことに重点を置き、ブランド戦略を推し進める。
東京都渋谷区の商業施設、渋谷ヒカリエ ShinQs(シンクス)に出店している「精肉あづま」は、5年前からあか牛の牛肉を販売。小山賢吾店長は「女性客に加え、高齢者が購入するケースも多く、年々固定客は増えている」と話す。
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