図解
※記事などの内容は2018年9月5日掲載時のものです
資源減少が懸念される太平洋クロマグロの漁獲規制を議論する中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の北小委員会が7日まで福岡市で開かれている。日本は漁獲枠の拡大を提案しているが、議論の行方とその影響を探った。
-クロマグロの状況は。
繁殖可能な親魚の資源量は、ピーク時の1961年に約17万トンだったが、乱獲の影響などで2010年には約1万2000トンにまで減少した。15年から国際的な漁獲規制が本格化し、16年は約2万1000トンに回復。WCPFCはさらに、24年までに約4万3000トン、34年までに約13万トンに増やす目標を掲げている。
-日本はどんなことを提案したのか。
マグロ漁を行う国・地域に割り当てられている小型魚(30キロ未満)と大型魚(30キロ以上)の漁獲枠を15%ずつ増やすことを求めた。枠を使い切らなかった場合は、翌年に枠の一部を繰り越せることも提案した。
-見通しは。
資源量は緩やかに回復しているが、低い水準であることに変わりはない。会議の中で行われている詳しい議論は分からないが、「回復途上で時期尚早」と反対している国があるようで、協議は最後まで難航する見込みだ。
-妥協点をどう探る。
クロマグロの資源回復には、大型魚より小型魚の漁獲制限の方が有効とされる。日本では小型魚を捕る沿岸漁業者が多く、政府は彼らに配慮して小型の枠の拡大を提案しているが、他国の理解を得るため、小型を諦め大型を優先する可能性がある。
-多く取れたら安くなるのか。
国内で流通するマグロ類のうち、最高級とされるクロマグロは1割ほど。回転ずし店やスーパーに並んでいるのは、主に割安なキハダやメバチだ。太平洋クロマグロの枠が仮に15%増えても、マグロ全体の値段が大きく下がることは考えにくい。食卓にはあまり影響がないかもしれない。
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