図解
※記事などの内容は2017年1月19日掲載時のものです
東京株式、外国為替市場は、日本時間21日未明に行われるトランプ次期米大統領の就任演説に神経をとがらせている。昨年11月の大統領選後に進んだ株高・円安の流れが反転する恐れがあるためだ。トランプ氏は選挙中に主張してきた保護主義的な経済政策にどこまで踏み込み、自国企業に不利に働くドル高に言及するのかどうか。市場関係者は戦々恐々と新大統領の演説を見守る。
米大統領選後の金融資本市場は「トランプ相場」と呼ばれた。投票前と直後は「トランプ・ショック」で落ち込む場面があったが、その後は「トランプ効果」に変わり、日経平均株価は約3000円上昇、円相場は1ドル=118円台まで下落した。トランプ氏が掲げた大型減税やインフラ投資がドル高・円安の背景とされ、円安は日本の輸出企業の利益を押し上げるとの思惑から株式市場全体を押し上げた。
トランプ氏はツイッターで発言を繰り返す一方、具体的な経済政策についてはいまだ語っていない。ただ、日本を名指しして貿易不均衡の問題に言及するなど、保護主義的な言動をやめる気配はなく、市場関係者は疑心暗鬼を強めている。
井出真吾ニッセイ基礎研究所チーフ株式ストラテジストは、就任演説について「国境税などの政策に言及すれば株価は調整局面に入る」と警戒。市川雅浩・三井住友アセットマネジメントシニアストラテジストは「減税とインフラ投資は公約より小規模になるのではないか」と、失望感からの円高進行を懸念している。
「(就任演説で)経済政策が具体化されるなら株価にはポジティブに働く」(中堅証券)との見方もあるが、こうした楽観論は後退気味。米中関係の緊張を懸念し「安全資産の円を買う動きが強まり、1ドル=110円を超える円高進行もあり得る」(諸我晃あおぞら銀行市場商品部部長)との声も上がっている。
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