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【図解・経済】新型コロナをめぐる地銀トップの発言(2020年5月)

新型コロナをめぐる地銀トップの発言

コロナ、地銀収益直撃=与信費用増、試される底力―公的資金による支援も

※記事などの内容は2020年5月28日掲載時のものです

 新型コロナウイルスの感染拡大が、地方銀行の収益を直撃している。全国102行の2020年3月期決算(単体)は純利益が前期比1割減の6652億円となり、9年ぶりの低水準。超低金利の長期化に、市場の混乱と貸し倒れに備えた与信関係費用の増加が追い打ちを掛けており、今期は11年ぶり水準への落ち込みも予想される。それでも「地銀として地域の企業、経済を守る力を発揮しなければならない」(秋田銀行の新谷明弘頭取)。厳しい環境下で底力が試される。

 ◇「本業順調」が暗転

 「本業が順調だっただけに非常に残念だ」。20年3月期の純損益が赤字に転落した清水銀行。昨年12月まで業績は堅調だったが、3月の世界同時株安で保有有価証券の減損処理を余儀なくされ、岩山靖宏頭取は肩を落とした。
 与信費用も地銀経営の重しとなり始めた。予防的に8倍の額を積み増した熊本銀行は赤字に転落。与信費用は特殊要因を除き、地銀全体で7割増加した。大幅減益となった東和銀行の吉永国光頭取は「信用コスト(与信費用)が非常に大きくなっている」と警戒を強めた。
 もっとも新型コロナの影響は既に幅広い業種に拡大しており、経済の本格回復までには「長い戦いになる」(百五銀行の伊藤歳恭頭取)との見方が圧倒的。地銀の業績にも、むしろ「今年度に大きく影響する」(宮崎太陽銀行の林田洋二頭取)と警戒する声が相次ぐ。実際、業績予想を開示した97行の21年3月期純利益はさらに5%減少する見通しだ。

 ◇「ここからが勝負」

 一方で新型コロナをめぐっては、再び感染が拡大する「第2波」が懸念されるなど、不透明感があまりにも強い。業績見通しも「大きな修正を余儀なくされる状況が十分ある」(富山第一銀行の横田格頭取)。ほくほくフィナンシャルグループの庵栄伸社長は今期見通しについて「正直根拠はない」と話す。
 それでも各行は、企業の資金繰り支援に全力を注ぐ。企業倒産が増えて与信費用が一気に増加すれば、地銀の財務が痛み、資金の流れに支障を来して地域経済が沈みかねないためだ。
 「ここで役割を発揮しなければ、何のための地域金融機関か」。広島銀行の部谷俊雄頭取は、12日の決算会見でこう語気を強めた。
 財務悪化懸念と地域経済を守る「使命」―。はざまに立つ地銀を支えるため、金融庁は金融機関に公的資金を注入して資本を増強する金融機能強化法の改正を決めた。期限を26年3月末まで延長した上、条件としていた経営責任も求めず、二の足を踏む地銀に対しハードルを下げた。同庁幹部は「ここからが本当の勝負だ」と厳しい表情で指摘する。 

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