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【図解・経済】地銀と証券、急接近(2020年3月)

地銀と証券、急接近

証券大手、地銀に急接近=相互に弱点補完、連携に活路

※記事などの内容は2020年3月7日掲載時のものです

 証券大手グループが地方銀行に急接近している。投資信託など金融商品を提供し、販路拡大につなげるのが狙いだ。地銀も証券会社の知見を活用できれば、顧客の資産運用ニーズに応えられる利点がある。証券、地銀の経営環境が厳しさを増す中、両者は双方の強みを生かし活路を見いだそうと新たな連携の形を模索している。
 先行したのは最大手の野村証券。昨年8月に山陰合同銀行(松江市)と包括提携で基本合意した。同行は証券子会社を廃止し、銀行本体で投資信託など金融商品を販売する計画だ。野村は商品選定や証券口座の管理を行う。野村は今年1月、阿波銀行(徳島市)とも提携に合意した。
 野村以上に地銀との連携に熱心なのがオンライン証券会社を傘下に置くインターネット金融大手SBIホールディングス。「地銀連合構想」を掲げ、既に島根(松江市)、福島(福島市)、筑邦(福岡県久留米市)、清水(静岡市)の4銀行と提携。筆頭株主となった島根銀からは投信の窓口販売事業を取得し、島根県内での販売を委託。SBIは商品供給と口座管理などに徹する予定だ。中堅の東海東京フィナンシャル・ホールディングスも地銀との連携を検討している。
 証券大手は投信の売買手数料撤廃や、地方支店での人口減少などによる個人向け営業の採算悪化に直面。一方、地銀は投信販売を軸に手数料収入の拡大を目指してきたが、商品数は大手銀などに比べ見劣りし、管理コストも負担になっている。それでも「顧客本位で考えれば、資産運用事業をやめることはできない」(地銀幹部)。
 地銀関係者には「(証券大手に)いいように使われるのではないか」との警戒感も強いが、人口減や超低金利下による収益低下に苦しむ状況では事態打開に動かざるを得ない。金融機関向けのコンサルティング業務を手掛ける日本資産運用基盤グループ(東京)の大原啓一社長は証券と地銀の関係強化について「理にかなっており『一石数鳥』。今後も広がるのは間違いない」と話している。 

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