図解
※記事などの内容は2020年1月3日掲載時のものです
地方銀行が、金融とITを融合させたサービス「フィンテック」で収益改善を目指している。顧客による資産管理を容易にするなど利便性の高いサービスで普及が見込まれ、政府も地銀とフィンテック企業との連携を後押しする。しかし、基盤となるシステムの整備が停滞。費用などをめぐり地銀とフィンテック企業の交渉が長引いており、サービスへの影響が懸念されている。
フィンテックでは、複数の口座情報を集約し、資産を「見える化」する家計簿・会計アプリなどが相次ぎ登場。スマートフォンで簡単に操作できることを売りに利用が拡大している。家計簿アプリを手掛けるマネーフォワードの利用者は900万人を突破した。
サービス向上には情報セキュリティー確保がカギだ。従来は顧客からパスワードを預かって口座情報を収集しており、情報漏えいリスクが拭えなかった。より安全な方法として浮上したのが「オープンAPI」だ。地銀とフィンテック企業の双方が安全対策を確認し、システムを相互に接続。銀行が顧客の同意を得て、フィンテック企業と入出金などの情報を共有する。
金融庁は、連携拡大が地銀の収益強化にもつながると判断し、地銀とフィンテック企業双方に実現を促すが、その歩みは遅い。地銀は「システム経費を丸抱えできない」と負担軽減を求め、フィンテック企業は「APIの利用料が高過ぎる」と訴えており、両者の溝が埋まらない。このままではサービスへの影響が出かねず、金融庁は銀行に対し1月末までに対応方針を公表するよう指示した。
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