図解
※記事などの内容は2019年12月24日掲載時のものです
かんぽ生命保険の不適切販売問題をめぐり、親会社である日本郵政の長門正貢社長ら郵政グループ経営陣の進退が焦点となっている。金融庁は27日にも一部業務停止を命じる見通しで、トップの責任が問われるのは必至だ。相次ぐ不祥事で厳しい目が向けられているさなか、前総務事務次官による情報漏えいも発覚。グループ4社の副社長を監督官庁の旧郵政省(現総務省)出身者らが占めており、天下り人事にも批判が高まっている。
郵政4社の社長はいずれも民間の金融機関出身者。郵便局を支持基盤に持つ自民党内からは「金融出身の4人のトップがこんな事態を招いた。地方や郵便局の実情が分かる人でないとトップは務まらない」との声が上がる。
政府・与党内では、長門社長のほか、かんぽ生命の植平光彦社長、日本郵便の横山邦男社長の辞任を求める声が強い。ただ、郵政グループ関係者は「民間と比べると報酬も低く、国会答弁も求められる。火中の栗を拾う人はなかなかいない」と指摘する。
「日本郵政の取締役に総務省OBが就任するのは行政の中立性、公平性の確保の観点から適切ではない」。菅義偉官房長官は24日の記者会見で、総務省の鈴木茂樹前事務次官が次官OBの鈴木康雄日本郵政上級副社長に行政処分の検討状況を漏らしたことを強く批判。取締役に総務省OBを就任させない考えを表明した高市早苗総務相を支持した。
郵政4社の幹部には2007年の郵政民営化の際に総務省から移った元官僚が多く、総務省と郵政グループになれ合いが生まれやすい構図となっている。企業統治強化に向け、官僚出身者の処遇を含めた経営体制の刷新が求められている。
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