図解
※記事などの内容は2019年11月11日掲載時のものです
福島銀行は、インターネット金融大手SBIホールディングスが主導する地方銀行連合「第4のメガバンク」構想への参加を決めた。システム経費の大幅削減などを掲げる構想への参加は、島根銀行に次ぎ2行目。低金利や人口減を背景とした収益低下に悩む地銀の経営基盤強化に向けた選択肢として急浮上しており、参加表明は今後も相次ぐ見通しだ。
「銀行同士の提携では限界がある」。福島銀の加藤容啓社長は11日に福島市内で記者会見し、SBIとの提携の意義をこう強調した。
地銀の経営強化策は従来、規模拡大による効率化を見込む隣接地銀同士の統合が多かった。ただ、統合は時間やコストが掛かるため、最近は異業種を含む業務提携を軸に収益のてこ入れを模索する動きが目立つ。ITを融合したフィンテックサービスなど既存銀行に求められる機能が激変する中で、従来型の提携では対応しきれない面が出てきたためだ。
SBIの構想は、システムや資金運用の共通化を柱に大幅な経費削減と収益の安定化につなげる。地銀側には「経営課題を射抜く(SBIの)知見を吸収したい」と歓迎する声もあり、福島、島根を加えた10行程度がSBIの出資受け入れを検討中という。
福島銀・SBIは提携を踏まえ早速、共同店舗づくりに乗り出す。SBIが開発した投資信託や保険、住宅ローンなどを福島銀顧客に提供する。9月に構想参加を決めた島根銀とは後継難に悩む取引先の事業承継を相乗りで支援する方針だ。ただ、構想の本丸であるシステムで合理化効果を出すには検討中の地銀を早期に取り込む必要が出てくる。有力地銀には「具体的な中身が分からない」(幹部)との冷めた見方もあり、構想の成否は依然見通せない。
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