図解
※記事などの内容は2019年9月2日掲載時のものです
現役世代の間で、老後に必要なお金を資産運用で確保しようとする動きが広がっている。きっかけは金融庁報告書の老後資金「2000万円不足」問題。30年後に公的年金の支給水準が2割減るとの厚生労働省試算も公表され、若い世代で将来不安が募っていることが背景にある。ただ、株式などでの資産運用は損失を被るリスクもあり、専門家は注意を促している。
取引手数料の安いインターネット証券では、公的年金の不足分を補うため、税制面で優遇される個人型確定拠出年金(イデコ)の口座開設申し込みが急増している。
イデコは加入者が毎月一定金額を拠出し、株式や債券を組み込んだ投資信託などで長期運用、老後に備える仕組み。SBI証券では6月、イデコの口座申込件数が前月比1.5倍と急増、7~8月も増勢が続いた。6月以降、老後資金問題が話題となり、「30~40代の顧客層が危機感を強めた」(SBI証券)ようだ。
楽天証券もイデコと少額投資非課税制度(NISA)を合計した口座の申込数が6月に、前月の約2倍へ急増した。7月下旬には東京都内で子育て中の女性向けの資産形成セミナーを開催。幼児を連れた若い母親の姿も見られた。
学生の関心も高い。株取引アプリ運営のスマートプラス(東京)が8月に開いた学生対象の投資セミナーには約20人が参加。男子大学生(20)は「公的年金だけでは老後の資金は不足するので、投資の知識を学びたい」と話していた。
上級ファイナンシャルプランナーの前田菜緒さんは長期投資の重要性を指摘した上で「家計が苦しくなった場合には、積み立て停止という選択肢がある」と話し、無理のない運用を呼び掛けている。
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