図解

【図解・経済】地銀・第二地銀87社の与信関係費用(2019年6月)

地銀・第二地銀87社の与信関係費用

地銀8割、貸し倒れ費用悪化=前期比3倍超に拡大-19年3月期

※記事などの内容は2019年6月5日掲載時のものです

 人口減少や低金利を背景に収益が悪化する地方銀行に、不良債権問題が再びのしかかり始めた。全地銀と第二地銀・グループ87社の2019年3月期決算では、融資先企業の貸し倒れなどに備えた与信関係の費用が前期比3.1倍となる計約3300億円に拡大。全体の8割近くに当たる66社で与信関係の収支が悪化した。景気減速による企業業績の悪化も懸念されており、地銀経営は一段と厳しい状況となりそうだ。
 与信関係の収支は、貸し倒れに備えた引当金や不良債権の処理費と、企業の業績回復を受けた引当金の「取り崩し益」などを相殺したもの。2000年代初頭にかけ、多くの銀行が巨額の費用を計上し経営危機に陥った。
 ここ数年は景気拡大を背景に「取り崩し益」が拡大。企業倒産の減少から引当金の計上も減少し、低金利で本業の収益が悪化する地銀は「与信関係収支の改善で利益を確保する構図が続いてきた」(日銀幹部)とされる。
 しかし、こうした構図は「5年、10年と続くわけではない」(黒田東彦日銀総裁)と警戒されてきた。実際、19年3月期には、静岡銀行の与信関係の収支が前期の45億円の利益から一転、48億円の損失となり、全体では4分の1の地銀の収支が利益から損失に転落した。
 地銀の与信関係費用のうち、不正融資問題で巨額損失を計上したスルガ銀行の分を除いた場合、費用は4倍超に跳ね上がる。収支悪化は特殊要因ではなく業界全体を覆う問題となっており、コンコルディア・フィナンシャルグループの川村健一社長は「(融資先企業の)劣化が起きている」と警鐘を鳴らす。
 貸し倒れ費用の水準は過去と比べなお低いが、景気減速によって低水準だった企業倒産が増えれば、引当金はさらに膨らむ可能性がある。地銀経営は転換点を迎えており、生き残りには政府が後押しする再編・統合も選択肢となりそうだ。 

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