図解
※記事などの内容は2018年8月24日掲載時のものです
長崎県の親和銀行(佐世保市)を傘下に置くふくおかフィナンシャルグループ(FG、福岡市)と十八銀行(長崎市)の経営統合が、公表から約2年半でようやく公正取引委員会に認められた。人口減少に加え、マイナス金利で貸出金の利ざやが稼げない地銀の生き残りを懸けた再編が再加速しそうだ。
日銀が2016年2月にマイナス金利政策を導入して以降、利ざやが稼げず、金融機関の収益は急速に落ち込んだ。金融庁によると、17年3月期には既に半数以上の地銀が、貸し出しなどの本業で赤字に陥り、18年3月期の事業環境はさらに厳しくなっている。
地銀業界では、熊本銀行を傘下に収め、長崎でも再編を仕掛けるふくおかFGに対し、肥後銀行(熊本市)と鹿児島銀行(鹿児島市)が15年10月に共同持ち株会社を設立し経営統合。一方、横浜銀行は16年4月に東日本銀行(東京)と経営統合し、共同持ち株会社を設立するなど、全国で再編が相次いだ。
ただ、長崎の統合問題が暗礁に乗り上げて以降、再編の動きは停滞気味。公取の競争政策のクリアが大きな壁となっていた。同じ県内での合併は、店舗の統廃合などで高い統合効果を発揮しやすい。今回の決着が「地銀再編と競争政策を全国的に議論する始めの一歩になった」(地銀幹部)と評価する声もあり、再編が再び加速する契機になる可能性がある。
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