図解
※記事などの内容は2016年9月26日掲載時のものです
日銀が新たな金融政策の枠組みを導入後、債券市場で長期国債を中心に金利が緩やかに低下している。日銀が物価目標の達成に向けた強い意志を改めて示したことで、大規模な金融緩和が継続されるとの見方から、市場に金利の先安観が広がったためだ。今後は日銀がどこまで金利の低下を受け入れるか、探りながらの取引となりそうだ。
21日の金融政策決定会合で、日銀は「2%の物価目標」を達成するため、長期と短期の金利を操作するイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の導入を決定した。このうち、短期金利に影響を及ぼすマイナス金利政策は維持。長期金利は10年物国債の利回りを0%程度にする考えを示した。
これを受け、マイナスで推移していた長期金利は21日、半年ぶりとなるプラス圏に一時的に浮上。しかし金利の先安観から、すぐに水面下に沈み、26日はマイナス幅をわずかに拡大して取引を終えた。
黒田東彦日銀総裁は同日、大阪市内で記者会見し、小幅なマイナス圏で推移する長期金利について「0%程度で推移している」と指摘。日銀が目標とする範囲内に長期金利が収まっているとの認識を示した。
日銀は、10年物以外の国債利回りの動きをどのようにしていくのか方針を明示していない。このため、市場では、日銀が適切とする金利の姿が描きにくいようだ。岡三証券の鈴木誠債券シニア・ストラテジストは「日々の金融調節で日銀の意向を確認しながら、利回りの形を固めることになる」とみている。
日銀が今回導入した「指し値オペ」という国債の買い入れ方法も、金利の上昇を抑える一因となっている。指し値オペは指定する利回りで国債を買う仕組み。「金利の上昇局面で、金利を抑えるのに効果を発揮する」(銀行系証券)とされ、市場では今後も金利が低水準で推移するとの見方が大勢となっている。
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