図解

【図解・経済】OECDによる多国籍企業への課税案(2019年11月)

OECDによる多国籍企業への課税案

OECD、多国籍企業の税逃れ防止策発表=共通最低税率から一定割合差し引き課税

※記事などの内容は2019年11月8日掲載時のものです

 経済協力開発機構(OECD)は8日、多国籍企業による税逃れの防止策を正式発表した。租税回避地に置かれたグループ会社に利益を移して税負担を逃れていることを問題視。世界共通の法人税率の最低水準を設定し、そこから一定割合を差し引き、課税できる仕組みを検討する。複数の租税回避地で支払われた税率の平均値を最低税率から差し引く案などが公表された。
 仮に共通の法人税の最低水準を15%とし、日本に本社を置く多国籍企業のグループ会社が別の国で8%の税を負担しているとすると、日本は差し引いた7%を新たに課税できるようになる。
 OECDは最低税率から差し引く税負担率について計算方法を公表。注目されているのは二つの案だ。
 一つは、複数の国・地域の法人税の平均を取る案。例えば、世界共通の最低税率を15%、グループ会社の所在地をA国(10%)、B国(2%)とし、両国に同額の所得があるとする。平均値は6%となり、本社のある国は最低税率から差し引いた9%を課税できる。
 もう一つは、国別に税率を差し引く案だ。先の例では、A国は最低税率との差の5%、B国は13%を、本社のある国がそれぞれ課税できる。
 複数国の平均を取ると、税率の高い国の影響で差し引く数字は高めに出やすくなり、課税対象部分が小さくなる。税率の極端に低い国にとっては新たな課税が発生しなくなるため人気だ。日本は租税回避地に適切に課税できる国別案を支持しているが、平均案の方が租税回避地の賛成を得やすいため、有力視されているという。
 OECDは税逃れの防止策の一環として、法人税を算定する上で基礎となる会計基準を、財務会計とすることなども公表した。こうした議論を集約し、2020年中に策定する最終報告書に盛り込む。 

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