図解

【図解・経済】デジタル課税の利益配分ルール(2019年10月)

デジタル課税の利益配分ルール

途上国と先進国が対立=課税利益の案分焦点-デジタル課税

※記事などの内容は2019年10月9日掲載時のものです

 巨大IT企業に対するデジタル課税をめぐり経済協力開発機構(OECD)が9日公表した原案を受け、今後は企業の課税対象利益について、実際のサービス消費国にどの程度配分するかが焦点となる。人口増加などを背景に経済発展が進む途上国は税収増を狙うが、課税強化を嫌う先進国は配分を低く抑えようと思惑が鋭く対立する。
 OECD原案は課税対象について、支店や工場など物理的な拠点を各国に置かずに巨額の利益を稼ぎ出す大手IT企業に限定していない。頭文字を取って「GAFA(ガーファ)」と呼ばれるグーグルなどを抱える米国に配慮したためだ。IT以外でブランド力などを持つ多国籍企業に対象を広げた上、各国での売上高の規模に応じて利益を案分し、それぞれの税務当局が課税できるようにする仕組みだが、制度の具体化は容易ではない。
 OECDは2020年1月までに大枠合意し、20年中に最終報告書の取りまとめを目指しているが、最大の争点は、課税対象利益の案分方法だ。税収を増やしたいインドなど途上国側は、自国での課税前に対象企業から差し引かれる利益の割合を低く抑えたいと主張。これに対し、先進国は消費国への配分税収を少なくするため拡充を模索する。
 さらに、業種を問わず適用税率を一本化するか、産業別に複数税率を導入するかも論点だ。日本の財務省幹部は「適切なタイミングで政治的に決めていく」との見通しを示しており、課税対象となり得る大手企業にとって気になるところだ。
 財界幹部は、工場を置いて各国で適正に納税していることを理由に「伝統的な日本の製造業への影響は少ないのではないか」との見方を示す。ただ、特許をはじめ知的財産を元手に国際的な利益を上げている医薬品メーカーなどは対象となる可能性がある。

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