図解
※記事などの内容は2019年5月20日掲載時のものです
内閣府が20日発表した2019年1~3月期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で前期比2.1%増となり、2四半期連続のプラスだった。ただGDPの過半を占める個人消費はさえず、米中貿易摩擦も激化し、景気の先行きは楽観を許さない。政府が10月に消費税率10%への引き上げを予定通り実行するかどうか、専門家の見方も分かれている。
年明け以降、中国経済の減速に伴う需要減を受け、スマートフォン向け電子部品などの輸出の落ち込みが目立ち、製造業の生産が悪化。民間エコノミストの多くは1~3月期のマイナス成長を予想し、海外経済悪化の国内への波及度合いが注目されていた。
発表されたGDPでは、内需の柱である個人消費と設備投資がともに2期ぶりのマイナス。輸入も原油や天然ガスを中心に大きく減り、内需の弱さを印象付けた。予想外のプラス成長は、輸入が10年ぶりの大きな落ち込みとなり、輸出から輸入を差し引く「外需」が押し上げられたのが要因。経済が好調とは言い難い。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「前向きにとらえることはできない内容」と指摘する一方、「増税実施の(政府)判断には影響しないだろう」と語る。第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは「内需の悪化が鮮明だ」と分析した上で、消費税増税延期の可能性について「4割程度ある」とみる。
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