図解
※記事などの内容は2019年2月28日掲載時のものです
新元号の発表が1カ月後に迫り、企業の情報システム改修の準備は待ったなしの状況になってきた。インターネットを介してパソコンなどの端末や情報システムが複雑に連携するデジタル時代における改元は初めて。対応を怠るとビジネスに悪影響が出る恐れがある。経済産業省などは、隠れたリスクを洗い出すため、取引先も含めた事前テストなど入念な準備を呼び掛けている。
政府は新元号を4月1日に発表し、5月1日に移行する。独立行政法人情報処理推進機構によると、「平成」など和暦の日付を使うシステムはプログラムの改修などが必要。二つ以上の文字を1文字で表現する「合字」で和暦を表示している企業も多く、こうした合字への対応も求められる。
改元に対応しないままシステムを使い続けると、電子データのやりとりによる受発注に支障が出たり、エクセルなどの表計算ソフトで和暦の日付を認識できなくなったりする。
経産省によれば、対応の基本は(1)和暦の使用状況の確認(2)必要に応じたプログラムの改修(3)事前テスト-になる。自社が対応しても、ネットでつながった社外のシステムが未対応なら問題が生じる恐れがある。取引先などを巻き込んだ広範囲なテストが望ましいという。
「1989年の前回改元時と比べ、情報システムは高度化・大規模化・複雑化しており、油断は禁物だ」。経産省と日本マイクロソフト(東京)が2月15日に東京都内で開催した説明会で、同省担当者は会場を埋めた約200人の企業関係者らに注意喚起した。
日本マイクロソフトは、基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」の更新プログラムの提供を既に開始。3月上旬にも改元に向けた注意喚起と必要な作業を説明する特設サイトを作る。4月には発表された新元号に対応したプログラムも提供する予定で、同社は「とにかく更新をお願いしたい」(コーポレートコミュニケーション本部)と呼び掛けている。
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