図解
※記事などの内容は2019年2月9日掲載時のものです
夢のマイホームを手に入れるなら、消費税増税の前と後のどちらが得か-。消費税率10%への引き上げが半年余り先に迫った。「人生最大の買い物」だけに2%分の増税負担は小さくないが、政府も需要減に備えた住宅購入の支援策を大幅に拡充している。不確実な物件価格の動向もあり、今が買い時かどうかの判断は容易ではない。
今回の増税に当たって政府が住宅購入支援の強化に踏み切ったのは、かつて消費増税前にマンションや戸建て住宅の駆け込み購入が広がり、その後の長期にわたる反動減が景気の足を引っ張った苦い経験があるためだ。
支援拡充の柱は3年間の住宅ローン減税延長。来年12月末までの入居者を対象に、購入から10年間、ローン残高の1%分を毎年の所得・住民税から差し引ける現行の措置に加え、11年目以降も3年間、ローン残高の1%分または建物価格の2%相当額の3分の1のうち、少ない方の金額を差し引ける。
また、中低所得層が住宅を購入した際に支給される「すまい給付金」は、現在の最大30万円から最大50万円へ増額。支給対象も年収約510万円以下から約775万円以下に広がる。さらに、耐震性や省エネ性能の高い住宅を購入すれば、商品などと交換できる最大35万円相当の「次世代住宅ポイント」も受け取れる。
増税による負担増を支援策で打ち消せるかどうかは、物件価格や購入者の自己資金の額、年収などで異なる。業界団体の試算では、すまい給付金が受けられない高所得層などは増税負担が支援策を上回る。一方、年収500万~600万円を中心とする中低所得層は「増税後の方が得なケースが多い」(大手マンション販売会社)という。
ただ、近年の高騰で新築マンションが「庶民には手を出しづらい値段」(大手販売会社)になっていることもあり、首都圏では目立った駆け込みの動きは見られない。景気の先行きや来年の東京五輪・パラリンピック後の価格動向も不透明で、消費者は慎重な検討が必要になりそうだ。
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