図解
※記事などの内容は2018年12月14日掲載時のものです
日銀が14日発表した12月の全国企業短期経済観測調査(短観)で、企業の景況感を示す代表的な指標である大企業製造業の業況判断指数(DI)は、先行きが4ポイント悪化した。米中貿易戦争が長期化するとの見方が広がり、企業心理に影を落としていることをうかがわせた。これまで景気回復を支えてきた企業の設備投資にも影響を与える可能性が指摘されている。
「この3カ月ですっかり景色が変わった」(大手行首脳)。秋以降、企業経営者の間には不安感が急速に広がった。最大の懸念材料は米中貿易摩擦だ。米中の覇権争いが長引けば、海外需要の落ち込みは避けられない。原材料の調達や製造・組み立てをグローバルに展開する多国籍企業は、調達・販売ルートの見直しを迫られる。
こうした見通しがあるため、12月短観では、特に自動車や生産用機械、化学などの輸出企業を中心に先行きDIが悪化した。
大手製造業の首脳は「仕事で何度も中国に行くが自動車販売に加え、建設も落ちている」と中国経済の変調を指摘する。今回の短観で、企業の設備投資は高水準を維持したが、工作機械業界の関係者は「貿易摩擦の影響で顧客の設備投資の決断が遅れている」と話し、様子見姿勢が広がることに強い警戒感を示した。
内閣府は13日、日本の景気拡大期間が2017年9月時点で高度経済成長期の「いざなぎ景気」を抜き戦後2番目の長さに達したとの判断を示した。19年1月まで続けば戦後最長になるが、米中摩擦に加え英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる混乱、年明けに始まる日米貿易交渉など、先行きの不安材料は多い。内外株価も乱高下しており、企業経営者のマインドは悪化しつつある。
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