図解
※記事などの内容は2018年5月25日掲載時のものです
財務省が25日公表した2017年末の対外資産・負債残高によると、日本は27年連続で世界最大の債権国の座を維持した。日本企業が海外で「稼ぐ力」を着実に強化してきた表れである一方、投資先としての日本の魅力が乏しいことも示している。
政府や企業、個人が海外に保有する対外資産残高は前年末比2.7%増の1012兆4310億円と、初めて1000兆円の大台を突破した。海外勢の対日投資を示す対外負債残高は5.2%増の683兆9840億円。この結果、資産から負債を差し引いた対外純資産残高は2.3%減の328兆4470億円だった。
対外資産の増加は、企業の合併・買収(M&A)や現地工場建設を海外で積極化している日本企業の戦略がある。海外直接投資残高は174兆6990億円、このうち対米投資は55兆4000億円で、いずれも過去最高を更新した。また年金や銀行・証券など機関投資家のマネーは、国内の低金利を嫌って、海外株式・債券に向かった。
半面、国際的に見れば、対日直接投資は依然として低水準が続く。外国企業が日本への投資に及び腰なのは、「成長が期待できる第三国の方が(低成長が続く)日本よりも魅力的に映ってしまう」(財務省国際局)ためだ。世界最大の債務国である米国は、裏を返せば、それだけ米国が投資先として魅力的であることを示す。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、対外純資産残高の現状について「今の日本は(工場などの)海外移転をはじめとした直接投資が増えつつあり、稼ぐ力が強い」と評価した上で、景気拡大を受けて対日投資が増えるかどうかに注目している。
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